1997年ベトナム10大ニュース


「経済時報」1997年12月31日105号より

  1. 新国会と第4回中央委員会会議
     7月20日、450人の議員からなる第10期国会が開催された。9月には新政府指導部が選出された。
     第8期共産党中央執行委員会第4回会議が開催され、「祖国の工業化、近代化」に向けた経済問題について検討した。レ・カ・フィェウ新書記長を選出。
  2. 仏語圏サミット
     第7回仏語圏サミットが44カ国からの代表を集めてハノイで11月から開催された。アジアでは初めてである。
  3. 5号台風
     過去100年間で初めてメコンデルタに台風が上陸し、多大な被害をもたらした。死者500人以上、行方不明3500人以上、家屋の倒壊7万戸、船の損壊3000隻
  4. 米輸出世界第2位を記録
     今年350万トンを記録。米国を抜き世界2位。1位はタイ。
  5. 貿易赤字減少
     1997年の貿易赤字は25億ドルで、1995年27億ドル、1996年の39億ドルに比べ減少した。ベトナム政府の輸入管理強化政策が効を奏した。特に、延べ払いL/Cに対する規制強化が貢献した。
  6. 汚職・社会腐敗に対する裁判
     政府はTamexco社の汚職裁判で4人の死刑求刑により汚職追放に対する断固たる意志を示した。この事件では外国貿易銀行(国営:ベトコムバンク)幹部が有罪となった。民間企業であったホーチミン市のミンフン・Epco社の事件では70人以上が逮捕され、やはり外国貿易銀行とインコムバンクの幹部が逮捕された。
     また、ヘロイン224kgの密輸事件も摘発され、裁判で8被告が死刑となった。首謀者は麻薬捜査担当の公安であった。
  7. 外国直接投資新規案件が減少
     1997年の外国直接投資額の概算は最高で62億ドルで、1996年に比べ20億ドルの減少となった。1997年の特徴は、中部への投資が活発化したことで、35%増加し、実績額が30億ドルに達した。
     政府は引き続き、煩雑な手続き、官僚制、汚職などを改善する予定。一方、ODAは24億ドルに達した。
  8. インフレ率がひきつづき低下
     1997年のインフレ率は4%で、前年に比べ0.5%の減少であった。ちなみに、1993年5.2%、1994年14.4%、1995年12.7%、1996年4.5%である。
  9. 購買力の伸びが鈍化
     購買力の伸びは1996年に比べ半分に低下した。インフレ要因を除去するとGDPの伸び率の3分の2に過ぎない。
     特筆すべきは、農産物と工業製品の価格差、いわゆる鋏状価格差が拡大している。
  10. サービス活動の社会化
     政府の3月の会議で、民間と外国の投資家に教育、医療、文化分野への投資を奨励することを決定した。


「サイゴン経済時報」1998年1月1日第1号より

  1. 指導者交代
  2. 甚大な被害をもたらした第5号台風
  3. 経済成長率が鈍化
     GDPの成長率は、1995年9.5%、1996年9.3%、1997年約9%
     工業分野の1997年度の成長率は13.2%、輸出金額の増加は20%強。
  4. 大企業の破綻、銀行と関連
  5. 密輸、麻薬取り締まりの強化
     密輸に関しては、97年10月21日付07号通達によって、領収証、合法的会計証票のない商品は没収されることになった。
     9月20日には内務省は、タン・チュォン・ソン事件を起訴、関連して国営輸出入公司、税関職員、商品検査官などを逮捕、起訴した。
  6. 教育、医療、文化分野の社会化政策
  7. 第7回仏語圏サミット、中心議題は経済
  8. 農業生産は全面的に良好で、米とコーヒーの輸出が顕著に増加
  9. 周辺各国の経済恐慌の影響
     外務省経済総合局によれば、輸出価格の低下によって、1997年下半期だけで損失は5億ドルに及んでいる。10月には国家銀行(中央銀行)はドン−米ドルの外国為替比率変動幅を5%から10%に調節した。
  10. ミー・トゥアン橋の着工
     9560万オーストラリアドルの建設費中、無償援助分が66%をしめる。着工は7月6日。メコンデルタ地区の交通の発展にとってきわめて重要で、全長1535メートル、3年で完成の予定。


ベトナムネット(VDC)より

  1. ベトナム共産党中央委員会は12月末、新書記長としてレ・カ・フィェウ氏を選出した。
  2. 7月20日に総選挙が行われ、450人の国会議員が選出された。その後の9月の国会で新大統領にチャン・ドゥォク・ルオン氏、新首相にファン・ヴァン・カーイ氏が選出された。
  3. 仏語圏サミットが11月にハノイで開催された。ベトナムで最も大きな規模の国際会議であった。
  4. 食糧生産が3060万トンにのぼり、360万トンの米を輸出、世界第2位の輸出国となった。
  5. 5千万トンの原油が採掘された。10月にはベトソフペトロによる採掘が11年目を迎えた。
  6. 国会は、3つの重点的プロジェクトクアンガイ省の石油精製プロジェクト500万ヘクタールの植林計画電気・肥料生産を目的とする天然ガスの利用−を決定した。
  7. 対外関係では、東京で開催された援助国会議で24億ドルのODA供与が決定された。うち、無償援助は25%。ロンドンクラブでは、ベトナムの債務が削減された。
  8. ベトナム南部海岸を襲った台風は、772人の死者2239人の行方不明者をだした。損失額は72億ドンに及んだ。
  9. ベトナム陸上競技界では、ジャカルタで開催された東南アジア競技会で多くのメダルを獲得した。
  10. ヴ・スアン・チュオン、シエン・ペインの麻薬裁判では8人の被告が死刑判決を受けた。ベトナムにおいて、これまでで最も大がかりな事件である。数百グラムのヒロインとアヘンが没収された。

 


「労働」紙記者による

  1. 米輸出量世界第2位を記録
  2. 原油採掘量5千万トンを記録
  3. 国家証券委員会設立
  4. 輸入品に対する検査体制強化
  5. ロンドンクラブで民間債務協議
  6. 11月2日の台風により大被害
  7. 周辺地域の金融恐慌の影響
  8. インフレの鎮静化
  9. インターネット加入
  10. 大規模汚職事件の捜査進展


ホームページへ