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「ベトナム経済時報」(Thoi bao Kinh te Viet Nam)
99号98/12/12より仮訳 無断転載禁止
飢餓一掃・貧困削減プログラム(以下、貧困削減プログラム)はホーチミン市からスタートした。今日、それは全国に広がった。しかし、本当にうまくプログラムを進めるのは容易なことではない。
飢餓・貧困という光景は全国の多くの場所でいまだに常態となっている。本年(1998年)の暮れになって(ホーチミン市)カンゾ(Can
Gio)県は飢餓状況に陥った。カンゾの所轄機関の統計によれば、現在この県では1,031世帯15,517人が不作のために飢餓状態になり、多くの世帯はほとんど何も無いという状況である。カンゾ県は年末にリストを作成し、ホーチミン市人民委員会に対し提出した。その内容は、丸3カ月間に渡りカンゾ県の人々に対して援助を求めるというものであった。
(ホーチミン市)ニャベ(Nha
Be)県では1万世帯中3,200世帯が貧困削減プログラムの対象となっている。その中で1,900世帯が借金を余儀なくされ、さらにその内の半数が期限の切れた債務を返すことができないという状況に陥っている。ニャベ県ヒェップフォック(Hiep
Phuoc)村の今年の米は不作で、浸水のために2,500ヘクタールが全滅した。目下、37世帯246人を飢えから救わなければならない状態である。
ホーチミン市の貧困削減プログラムは本年末までに96,357の貧困世帯に資金を援助した。この数はこのプログラムの対象とする世帯の79%をカバーしている。6,000人は職業訓練を受け、30,000人は仕事を確保し安定した収入を得た。ホーチミン市の飢餓一掃・貧困削減基金(以下、貧困削減基金)総額は940億ドン(約9億円程度)に達し、内40%は民衆の拠金である。
このように、ホーチミン市の貧困削減プログラムは大きな努力を払ってきたのだが、いまだに不十分であると言わざるをえない。というのは、(ホーチミン)市で貧困削減プログラムの対象になっている農家の21%がいまだにプログラムから融資を受けることができていないのである。また、ベトナム貧困者銀行によれば、現時点で全国の貧困者の融資需要に対し50%しか応えていないとのことである。
労働・傷病兵・社会省の統計によれば、1993年から現在に至るまで、多くの地方(政府)、組織・団体が貧困削減プログラムを幅広く展開してきた。今日にいたって、貧困削減プログラム基金の総額は約3兆7000億ドン(約3300億円程度)に達し、その内3兆3000億ドン弱は貧困者銀行の資金が占めている。過去数年間に渡り、貧困削減プログラム諸基金は延べ1800万世帯に融資を行い、毎年1.8%ずつ貧困世帯を減らしてきた。しかしながら、ベトナムの飢餓貧困村の数はまだかなり多い。現在、ベトナムにおいては飢餓貧困世帯が40%以上を占めている村が1,498あり、その内、187村では飢餓貧困世帯が70%以上を占めている。ベトナム飢餓一掃・貧困削減に関する国家プログラムは1998年7月にベトナムの飢餓貧困世帯数を大幅に減少させることを目的に決定された。これは9プロジェクト、約10兆ドンの総予算を投じる各分野を連結した総合的プログラムである。1999年には、このプログラムは国家予算からの4540億ドンと、公債発行による約1兆ドンを拠出し、同時に国際社会・国際協力の各分野からの資金も調達する予定である。また1999年においては、このプログラムは集中的に特別困難な1000の村に投資する予定であり、その中でも586の貧困村に優先的に割り振られる。ホーチミン市の貧困削減プログラムの幹部の一人は「巧みな方法を見つけ、人々に接近しなければなりません。そうして初めて貧困削減プログラムを首尾良く行うことができるでしょう。」と語った。
ホクモン(Hoc Mon)県は、今年末までに420世帯を晴れてこのプログラムの対象からはずすことができた。現在、人々は実際に安定した生活に着いている。建設運動では84の「愛情の」家を困窮世帯に供給した。4億6000万ドンで困窮者のために家屋の新設・改修を行った。この県では貧困削減プログラムの対象となっている1,500人の子どもたちが勉強できるように380億ドンの貧困削減プログラム基金を充てた。貧困削減プログラムはまた、総数6,036世帯、4,300件に35億ドンの資金を貸与し、300人の労働者に職業訓練を施し、約500人の労働者に雇用機会を提供した。
ホクモン県の貧困削減プログラム実施の秘訣はとても簡単なことである。それは、集落の幹部に追跡調査を行うように指示したことである。融資返済期限が来るとこれらの幹部は世帯を督促に訪れる。そして、もし対象世帯で返済できない者がいれば期限を延期する。もし彼らが栽培や畜産に投資しその収穫(販売)時期が来ていないために返済できないのであれば追加融資し引き続き投資できるように計らうであろう。そして時期が来て栽培作物や家畜が販売できれば債務を返済するということである。この実に切実な方法により、ホクモンの困窮者・世帯は本当に生活を変えることができた。一方で延滞債務の数はとても少ない。現場の貧困削減プログラムの幹部の一人であるヒエンさん(男性)は「忍耐と理屈ばかりでなく情に根ざした思いやりが必要なだけで、それがあれば人々の生計資金を援助し、同時に返済も十分に得ることができるんです」と教えてくれた。
ゴック・アインさん(女性)は言う。「概観して、ホクモンの貧困者・世帯の暮らし向きは生計資金を初めて受け取った時期と比べ明らかに好転しており、借入資金の使用も目的に沿っています。延滞債務は数えるほどしかありません。たった4.49%でそれもほとんどが生計上の災難や疾病に見舞われた世帯です。」
しかしながら、いつでもすべての話がそのように順調にいくわけではない。ベトナム貧困者援助銀行のホーチミン市支店によれば、本年末までにこの銀行は50億ドンの未融資残高を抱えている。9カ月でやっと18億ドンを融資したに止まっている。この状況の原因は、家畜などの病気、価格の変動、生産物販売の困難のために融資を受けた貧困者が原本の返済不能、延滞債務の増加という状況に陥ったことにあり、そのため、貸付高は減少した。他方で、各地方ではリスクを恐れ、特に困窮している貧困世帯を対象とする貸付対象リスト作成が遅れ、あるいは困難に直面した。そのことは貧困者援助銀行の資金貸出の進展に少なからぬ影響を与えた。ホーチミン市とベトナム全国の貧困削減プログラムはいまだに息の長いプログラムのままである。どのようにして、融資と借入という2つの言葉の周囲を回ることなく、このプログラムが本当に飢餓を一掃し、貧困を削減し人民の生活を向上させることができるのだろうか?